訪問看護ステーション 地域に根差した「あんしんケア」| は~とふる多摩センター
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★コラム

2025

12/16

訪問看護のやりがいについて

訪問看護ステーションは~とふる多摩センターです。
今回はやや求人向けの記事になりますがご容赦くださいませ。

は~とふる多摩センターは、現在9年目です。これまで、様々な看護師の皆さまと面接の機会をもたせていただきました。最近では、「ぜひとも訪問看護にチャレンジしたい」と考える方の割合はかつてよりずっと増え、年齢層も20代にまで拡がってきており、実に頼もしく感じています。

今後もますます、訪問看護師になりたいと思ってくださる方が増えるといいな…という願いを込めて、「訪問看護のやりがい」について、私なりにまとめてみました。ぜひご覧ください。

特に、よく耳にする「病院勤務に疲れた」という方々にお伝えしたいのは、訪問看護の現場に身を置くと、久しく忘れていたやさしさの温度に触れ、自分自身の原点がそっと息を吹き返す瞬間があります。ここでは、訪問看護がもつ5つの魅力について触れていきたいと思います。


1対1の時間が取り戻す「看護の原点」

訪問先の玄関に立ち、チャイムを押すと、その家に流れる空気が静かに迎えてくれます。病棟では叶わなかった30分から1時間という「ひとりのためだけの時間」を自然に確保できることは、訪問看護の何よりの特徴です。この時間は、単に処置や管理を行うためのものではありません。相手の声の響きや、わずかな息づかいの変化、生活の中でしか見えない表情の陰影…それらを丁寧に受け取りながら、訪問看護師はその人の物語を紐解いていきます。仕事の性質上、1対1の信頼が深まるほど、必要な情報は自然に浮かび上がってきます。看護師としてではなく「ひとりの人」として向き合える時間が、実は自分の心を最も落ち着かせてくれるのだと気づく場面も多くあります。原点が静かに戻ってくる、そんな感覚を味わえるのが訪問看護です。


地域と家族の中で育まれる「協働」の視点

ご利用者様の自宅には、その方の人生が凝縮された時間が流れています。病棟ではほとんど語らなかった方が、自宅では饒舌に思い出を語り始めることも珍しくありません。その言葉に耳を傾けると、看護師としての姿勢にも自然と丁寧さが宿ります。訪問看護は、利用者本人だけでなく、家族や友人、近隣の方、ケアマネジャー、医師…多様な関係者と「ともに支える」仕事です。ご家族がそっと教えてくださる本心や、地域の方が何気なく話す生活の様子は、病室では決して得られない大切な手がかりになります。点で存在していた情報が、在宅という舞台ではひとつの線になり、それぞれの生活を立体的に理解することにつながります。地域の輪の中に自分が自然に溶け込んでいくやりがいは、訪問看護ならではの心地よい充足感をもたらします。


自宅という「故郷」が呼び覚ます生命の力

人は自分の家に戻るだけで、安心という名の深い呼吸を取り戻します。天井の模様や家具の匂いといった、誰にとってもありふれた風景が、その人にはかけがえのない「生きる場所」になります。たとえ寝たきりでも、認知症が進んでいても、自宅という空間がもつ力は驚くほど大きいものです。訪問看護師は、その方にとって大切な空気の中に入り込む立場だからこそ、技術だけでなく、その家の文化や歴史そのものに敬意を払いながら関わることが求められます。ご利用者様が安心を取り戻していく姿を見るたび、「場所が人に与える力とは、これほどまでに大きいのか」と心が静かに動かされます。自宅という原風景に触れながら行うケアは、看護師自身にとっても学びと優しさを深める時間になります。


季節の移ろいがケアを豊かにする

訪問先へ向かう道のりは、単なる“移動”にとどまりません。季節が変わるたびに街の表情も変わり、看護師の心に自然と余白が生まれます。春の光に包まれる道、夏の雨の匂い、秋の落ち葉の音、冬の空気の静けさ──それらは忙しい日常に小さな彩りを添えてくれます。利用者の中には外出が難しく、季節を感じにくい方もいらっしゃいます。そういう方に「今日は風がやわらかかったですよ」とお伝えするだけで、まるでその場に花が咲いたかのように表情が和らぐことがあります。日本人が大切にしてきた“季節を味わう感覚”は、訪問看護という仕事にそっと深みを与えます。看護師にとっても利用者にとっても、季節は日々のケアの中に静かに寄り添うパートナーなのです。


やさしさを自然に発揮できる場所としての訪問看護

働く環境の中で、気づかないうちに心を守るための鎧を身につけてしまうことがあります。看護師という仕事に宿るやさしさは本来まっすぐで、誰かを助けたいという純粋な気持ちから生まれたものですが、過酷な場ではその思いを素直に外へ出しにくくなることもあります。看護師のなかには病棟勤務をそのような過酷な職場と捉える人がいるかもしれません。訪問看護は、その鎧を無理に脱ぐのではなく、ゆっくりとほどけていくような場所です。一対一で向き合い、相手の信頼が自分に静かに寄せられてくると、「私はこの人の力になれている」という実感が心の深いところに灯ります。時には、看護師が癒しているのか、癒されているのか分からなくなるほど、穏やかな交流が生まれます。働く中で失われかけた“やさしさ”が、無理なく自然に息を吹き返す現場──それが訪問看護の持つ大きな魅力です。


私たち訪問看護ステーション はーとふる多摩センターは、「やさしさ」を大切にしたケアを軸に、利用者さまとの関わりと同じくらい、スタッフ一人ひとりが自分らしい看護を実感できる環境づくりを大切にしています。訪問看護は、看護師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど、地域を支える皆さまにとって、自分の専門性を豊かな形で発揮しながら、人としての温かさを取り戻していける場だと感じています。これからも地域の一員として寄り添い、誰かの日常を支え、その人の人生にそっと灯りをともす存在でありたいと願っています。

 

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